お釈迦様の教え
その30 法に依れ
お釈迦さまが、ヴァイシャリーという街に滞在されていた時のことです。
年老いたお釈迦さまは、重い病気にかかられ、自らの死を強く意識するようになられました。
なんとか病気から回復されたお釈迦さまでしたが、弟子の阿難尊者は、
「師である世尊が亡くなられるのではないか」
と考え、不安のあまり冷静さを失っていました。
そのような阿難尊者に対し、お釈迦さまは、
「他の者に頼ってはいけない。自らを灯とし、自らを頼りにせよ。そして、法を灯として、法を頼りにせよ」
と説かれたのです。
このお釈迦さまのお言葉は、
「人に依らず、法に依れ」
という教えを表しているといわれています。
お釈迦さまは、この教えを説かれた後、阿難尊者に命じ、ヴァイシャリーにいる弟子たちを集められました。
そして、集まった弟子たちに向かって、
「私は、今から三ヶ月後に、涅槃に至るであろう」
と仰ったのです。