- 今月の教え 本当に相続すべきもの -
今月の教え 本当に相続すべきもの
お釈迦さまは、伝道の旅の途中に、故郷のカピラ国に向かわれました。
久しぶりに家族と再会され、その中には、息子のラーフラもいました。
ラーフラは、お釈迦さまに向かって、「お父さまが相続するはずの財産を私に下さい」とお願いしました。
しかし、お釈迦さまは、ラーフラを出家させたのです。
一番大切なもの
なぜ、お釈迦さまはラーフラを出家させたのでしょうか。それは、ラーフラに正しい道を歩んでもらうためでした。
ラーフラが求めたお金や地位といった財産は、どれだけあっても満足できず、苦しみの原因となってしまうものです。
お釈迦さまにとって、自分の息子に受け継ぐべき財産は、そのように苦しみを生んでしまうお金や地位ではなく、苦しみから離れるための仏の教えでした。
「全ての人々を苦しみから救いたい」
と決意されたお釈迦さまだからこそ、たとえ、王さまの跡継ぎであっても、正しい仏の道に導くため、出家させたのです。
心の相続
家族や子供への相続と聞くと、みなさんは何を想像しますか。愛する家族や子供が幸せで健康に暮らせるよう、お金や家などの財産を残したいと考える方が多いのではないでしょうか。
もちろん、生活をする上で、お金や家などの財産は必要です。
しかし、家族や子供の真の幸福を願うのであれば、より大切なものを相続しなければなりません。それは、お釈迦さまが自分の息子に残された、人間が持つ苦しみから離れるための仏の教えであり、その仏の教えを信じる心の相続です。
たとえ、たくさんのお金を残したとしても、仏の教えや、信仰心を受け継ぐことができなければ、愛する家族は、苦しみから逃れることができず、迷いの世界をさまよい続けることになります。
もしそうなってしまった場合、いくら後悔しても、後悔しきれないのではないでしょうか。本当に大切な人だからこそ、目に見える一時の安心ではなく、目に見えなくても、いつまでも続く安心を残してあげることが大事なのです。
私たちの生きる世界は、いつ何が起こるか分からない無常の世界です。悔いがないよう、自分の大切にしている心を、愛する人に伝えていきましょう。