その十一 仏教の根本的な教え
悟りを得られたお釈迦さまは、共に修行をした五人の比丘に対して、二つの極端を離れた中道の教えを説かれ、次に、仏教の根本的な教えの一つである「四諦」を説かれました。
四諦とは
「諦」とは、「真理」という意味であり、物事の本質を明らかにすることを意味します。
つまり、お釈迦さまが説かれた四諦とは、四つの真理のことです。
その四つの真理とは、苦諦・集諦・滅諦・道諦を指します。
苦諦とは、私たちの生きる世界は迷いの世界であり、全てが苦しみであるという真理。
集諦とは、苦しみの原因が 私たちの欲望や執着にあるという真理。
滅諦とは、欲望や執着から離れた苦しみのない世界が悟りの境地であるという真理。
道諦とは、苦しみのない世界へ至る正しい方法があるという真理です。
私たちの生活の中にある四諦
お釈迦さまが説かれた四諦とは、私たちが生きる世界の真理を明らかにしているため、私たちの普段の生活から、その教えを実感することができます。
皆さんは、体調が悪くなり、病院に行ったことはないでしょうか。風邪などの病気になると、「熱が出て苦しい」「頭が痛くて苦しい」などの様々な症状を味わいます。このように、苦しみを自覚することが、「苦諦」です。
そこで、病院で検査や診察をしてもらうと、「ウイルスに感染してしまった」などと診断され、原因が明らかになります。このように、苦しみの原因を明らかにすることが、「集諦」です。
そして、私たちは風邪をひくと、「少しでも早く元気な時に戻りたい」と思います。そのように病気が治った元気な姿、苦しみから離れた状態が、「滅諦」です。
しかし、元気になりたいと思うだけでは、なかなか体調はよくなりません。医師が病気に応じて適切な治療法を選んでくれることで、病人は手術を受けたり、薬を飲んだりして、元気な状態に回復することができます。このように、苦しみから離れるための具体的な方法を、「道諦」といいます。
このように、四諦は、病気を治す手順に喩えられ、仏教においても、私たちの生活においても、とても大切な教えであり、この教えを聞いた五人の比丘は、次第に心を開いていきました。
私たちも五人の比丘と同じように、四諦の教えを詳しく学んでいきたいと思います。