その一 お釈迦さまのご生誕
お釈迦さまは、今からおよそ2500年前の、4月8日に、お生まれになりました。
そして、お生まれになってすぐに、7歩あゆまれ、「 天上天下 唯我独尊 」と 仰いました。
人間として生まれることは尊い
この出来事には、大切な教えがこめられています。
「天上天下」とは、この世の全ての世界という意味です。
「この世」とは、私たち人間がいる世界だけを示しているように思えますが、実は違います。
お釈迦さまは、人間がいる世界は、「六道界」の一つであると説かれました。
六道界とは、地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天という6つの苦しみの世界で、私たちは、この世界の中で生まれ変わりを繰り返しています。
つまり、「天上天下」とは、この六道界のことを示しています。
次に、「唯我独尊」とは、「唯、我(お釈迦さま)独りが尊い」と読めますが、
「仏に成ることのできる我が身ほど尊い存在はない」という意味もこめられています。
「我が身」とは、人間として生まれたこの身のことであり、仏と成れる可能性があるからこそ、人間の身が尊いことを示しています。
このように、「天上天下 唯我独尊」というお言葉を通して、六道界の中で、人間として生まれたことは、非常に有難い、ということを教えているのです。
苦しみのない世界を目指して
さらに、お釈迦さまが、「7歩」あゆまれたことは、7歩のうち、6歩までは六道界の生まれ変わりを教え、7歩目は、六道界から一歩踏み出し、苦しみの世界から抜け出すべきことを教えています。
お釈迦さまが、自らのお言葉とお姿により教えられた「苦しみの世界から離れること」こそ、私たち人間が、本当に求めなければならないことです。
2500年前、お釈迦さまは、苦しみの世界から離れる方法を探され、見つけられました。
そして、ご生涯をかけて、その方法を説き広められ、現代に生きる私たちにまで、「教え」として残されました。
苦しみのない世界を目指して、これから、お釈迦さまの様々な教えに触れていきましょう。